いつか母の名をきざみに

 愛野運送が破産して一年になりますか。ただそのことを心配しているのではありません。私が気にしてるのは両親が眠りつづける墓地です。惨状を一度見せて貰いましたが、建立者の母の名がきざまれていない墓石を見るのは辛いです。といって誰を責めることもできず、そう遠くない日に訪れるであろう無縁墓地の現実。そろそろ真剣に考える時が来ていると思い何時だったか電話したのです。一緒にトマトをやる話もしたかったです。泥酔していたとはいえあの夜の無礼を私は忘れないでしょう。いつの日か母の名を自分できざみに行きます。
                          2015.11.25 愚兄